倒産に関する法律相談

  債務超過の会社が法的整理を行う方法として、大きく破産手続と民事再生手続とがあります。最善の方法を選択し、手続をスムーズに進めるためには早期の相談と見極めが大事です。以下では、企業が倒産を余儀なくされた場合にとられる法的手続をご説明します。

② 破産手続きについて

  破産手続きは、破産者の総財産を換価し、債権者に対して公平に配当を行う裁判上の手続きです。破産手続きの流れは次の通りです。

step.1 裁判所へ申立

  混乱を避け、スムーズに開始決定を出してもらうためには、しっかりとした事前準備が必要です。

step.2 裁判所が開始決定、破産管財人を選任

  破産管財人は、会社の代理人ではなく、裁判所から選任された中立的な立場にあります。破産管財人が会社の全ての財産の管理処分権を持ちます。

step.3 管財人が財産を換価

  換価して、配当の原資を確保します。

step.4 債権調査期日、財産状況報告集会

  債権者から届出のあった債権やその額について、認められるかどうかを管財人が調査します。調査で認められた債権は、配当の対象になります。また、管財人は、会社が倒産に至った経緯や、財産状況、換価の進捗状況等を債権者に報告します。

step.5 配当

  破産法の規定に従って、管財人が債権者に配当をします。配当率は、換価状況等によって決まります。

step.6 終結

      

破産手続きの費用について

  裁判所へ納める予納金、申立代理人に支払う弁護士費用等が必要です。予納金や弁護士費用は、会社の規模や案件によって異なりますので、ご相談下さい。

民事再生手続きの費用について

  裁判所へ納める予納金、申立代理人に支払う弁護士費用等が必要です。予納金や弁護士費用は、会社の規模や案件によって異なりますので、ご相談下さい。また、この他、民事再生を申し立てた後に仕入れ等の取引をする場合には、相手方から現金取引を求められることもあり、このような運転資金についても十分に検討しておく必要があります。

① 民事再生手続きについて

  民事再生手続きとは再建型の倒産手続きで、債務を圧縮し、事業再生を図る裁判上の手続きです。民事再生手続きの流れは次の通りです。

step.1 裁判所へ申立

  混乱を避け、スムーズに開始決定を出してもらうためには、しっかりとした事前準備が必要です。

step.2 裁判所が保全命令、監督委員を選任

  民事再生手続きでは、会社はそれまでどおり営業を行うので(法律上代表者が交代する必要もありません)、監督委員が、会社の業務遂行や財産の管理処分が適正に行われているかを監督します。また、開始決定を出すかどうかについての意見を裁判所に述べます。

step.3 会社主催の債権者説明会

  説明会はあくまでも会社が開催するもので、会社(具体的には代表者)が、直接債権者に対して、倒産に至った経緯、業務・財産の状況、再生の見通し等を説明して、再生手続について債権者の理解と協力を求めます。

step.4 裁判所が開始決定

step.5 会社が債権認否書の提出

  債権者から届出のあった債権やその額について、会社として認められるかどうかを記載した書面です。

step.6 会社が再生計画案の提出

  再生計画案では、債務をどの程度免除してもらうか、残りの債務をどの程度の期間に弁済していくか(最長10年間)、等を定めた弁済計画を記載します。

step.7 債権者集会

  債権者として再生計画案を認めるかどうかが決議されます。

step.8 可決

  出席した議決権者(つまり頭数)の過半数が賛成し、かつ、棄権者を含む総議決権額の2分の1以上の賛成が可決の要件です。書面決議による場合の可決要件も同様です。

step.9 裁判所の認可

  特に不認可事由に該当する事情がなければ認可されます。認可されれば、再生計画案に反対した債権者も再生計画の内容に拘束されます

step.10 会社は再生計画に従って債務を弁済

step.11 終結

  弁護士は申立代理人として活動したり、民事再生手続きの監督委員、破産手続の管財人として活動をします。

  私たちは、残念ながら再建を諦め、やむなく自己破産をせざるを得ない会社も多数見てきました。その中で感じるのは、きちんと破産手続をやりきるのが、経営者の最後の仕事であるということです。

  債権者に迷惑をかけたくないという気持ちはどの経営者の方もお持ちですが、現実にはこの時点で経営者にできることは、できるだけ手続をスムーズに進め、少しでも早く、配当ができるようにすることなのです。そしてそのためには、いかに混乱させずに迅速に申立てができるかが重要になってきます。

  申立てがスムーズにできなかったため、その後の破産手続が迷走して、かえって債権者に迷惑をかけてしまうケースもあります。

  また、早い段階で適切な対応をしておけば、民事再生手続きによる処理が検討できたのではないかと思われるケースもあります。業績不振で悩んでおられる方は、お早めにご相談下さい。最善の方法を一緒に検討致します。