債権回収はどうすればよいでしょうか。行き過ぎた行為があれば、恐喝罪や脅迫罪等に問われることもあります。したがって、相手方が任意に支払に応じない場合には法的手続を執らざるを得ませんが、法的手続には様々な種類がありますので、金額や相手方の態度等から、どのような手続を選択するかを決定することになります(担保や保証人がいない場合)。

  法的手続を取る前の段階で相手方に請求をする場合、どのような点に注意したらよいのでしょうか?

  内容証明郵便を利用して請求をする方がよいでしょう。内容証明郵便を利用すれば、文書の内容や差出日が公的に証明されますから、例えば後々裁判になったような場合に、相手は「請求を受けた覚えはない」等と言い訳ができません。また、口頭や普通郵便で請求する場合よりも、相手に対してこちらの強い意志が伝わりやすく、相手が請求に応じる可能性もあります

  相手方がどうしても任意に支払に応じない場合には、どのような手段で請求すればよいですか?

  公正証書を作成していれば、公正証書をもとに強制執行ができますので、裁判所に対して強制執行手続きの申立をします。

  公正証書を作成していなければ法的手続を執ることになります。一口に法的手続といっても、通常の訴訟以外にもいくつか種類があります。

① 支払督促
  あなたが簡易裁判所に申立をすると、あなたの一方的な申立に基づき(つまり、相手に事情を聞く等その主張の真否についての実質的な審理をしないで)、簡易裁判所が支払督促を出してくれます。この場合、支払督促が相手に郵送されて2週間以内に相手が異議を出さない場合、あなたは所定の手続きをとることにより、相手の財産に対して強制執行をすることが可能となります。但し、相手が異議を出せば支払督促は効力を失い、通常の訴訟に移行することになります。

② 少額訴訟
  これは平成10年に新設された制度で、60万円以下の金銭の請求について、普通の裁判よりも審理手続きを簡易化し、1回の期日で集中して審理を行い、判決も原則としてその日に出すというものです。もっとも相手がこのような簡易な手続きに反対し、通常の訴訟へ移行するように申し出れば通常の訴訟に移行します。

③ 調停制度
  これは、公平・中立な立場にある調停委員があなたと相手方の話し合いの仲介役をして、話し合いをまとめる制度です。もっとも、調停はあくまでも話し合いを行うための制度ですので、最終的に当事者の間で合意ができなかった場合にはそこで手続は終了します。

  この他、裁判等の法的手続を執る前に相手方と合意ができたが、相手 方が分割で返済をする場合等、相手方が約束を守るか不安がある場合には どのような手段がとれますか?

  このような場合には、即決和解という手続を執ってはどうでしょうか。

  これは簡易裁判所に申立てをして、裁判所に合意の内容を和解調書という形にしてもらう制度のことで、和解調書には判決と同じ効力が認められています。したがって、即決和解手続を執っていれば、これを基に強制執行を行うことができます。

  いずれにしても、債権があるのに相手が支払わないからといって行きすぎた取立行為があると、恐喝罪や脅迫罪等が成立し、刑事事件になるおそれもありますので注意して下さい。