顧客名簿等の企業秘密については、秘密管理規程を定めたり、社員教育を徹底する等の対策を講じておくことが重要です。また、万一企業秘密が外部に流出した場合には、迅速な法的措置を講じる必要があります。

  顧客名簿などの企業秘密の管理方法や流出した場合の対応策について教えて下さい。

  情報ないしは秘密というものは、一度、外部に流出してしまうと情報としての価値を失ってしまうことが多く、流出した情報の内容によっては、後に回復できない重大な損害を被ることも考えられます。 

  そのために、日頃から企業内部の情報や秘密が外部へ流出することを防止するために、企業内部において「秘密管理規程」を定め、情報、秘密についての管理方法、取扱方法を明文化して社員に周知徹底するとともに、秘密資料について、責任者による保管場所の施錠等により流出防止策を講じておくことが重要になります。 

  そして、万一、秘密が外部に流出した場合の対応に関して、「不正競争防止法」は、情報の流出による実害を防止する手段として、営業秘密を窃取などの不正な手段によって取得する行為や不正に取得された秘密の使用や開示といった不正行為に対する差止請求権を規定しています。さらに、情報の流出によって実害を被った場合には、営業秘密の窃取など不正な行為をなした者に対して、被った損害の賠償を請求することも検討することになります。

  その他、不正に秘密資料を持ち出した者に対しては、不正競争防止法が定める営業秘密侵害罪や刑法の定める窃盗罪、横領罪あるいは背任罪での告訴により刑事責任を追及することも考えられますが、冒頭に述べましたとおり、情報が流出したことによって企業が被る被害は事後的には回復できないことが予想されますので、事前の流出防止策を十分に検討し、実施していくことが何よりも大切です。