契約書の法律相談

  契約書が重要であることは理解していても、実際には、何をどどう見ればいいのかわからず、ざっと目を通したただけで適当に契約書を取り交わしていませんか?また、細心の注意を払った契約書でも、法律の改正や新たな裁判例の出現により、定期的なメンテナンスも必要となります。

  企業活動を営む上ではたくさんの契約書を取り交わす必要があります。当事務所も、取引の基本契約書、販売委託契約、製造委託契約、フランチャイズ契約、賃貸借契約と様々な取引に関する契約書の作成やチェック等の依頼を日常的に受けています。

  一昔前は、重要な契約にも拘わらず、契約書すら作成されていないというケースもあったようですが、さすがに最近は契約書を作ること自体は当然として、「どのような内容の契約書を取り交わすか」「この契約の内容では当方にどのようなリスクが生じるのか」という点についての相談が多いです。

  しかしながら、とりわけ中小企業では、契約書の内容をチェックし、変更を求める必要がある条項はないか、一方的に不利な契約内容となっていないか等を検討できる体制が整っておらず、内容をきちんと検討しないまま、相手方が一方的に提示してきた契約書に応じてしまっているケースも多いようです。最近は、何十ページにも及ぶ詳細な契約書の取り交わしを求められることも多いので、なおさらだと思います。

  取引をするに当たっては、代金や商品の仕様、サービスの内容について、十分に検討し、交渉をされることと思います。ところで、契約書は合意をした内容を最終的に書面としてまとめるものですが、契約書では、上記のような基本的な事柄だけではなく、例えば、

① 商品の所有権はいつ移転することにするのか

② 商品に不具合があった場合に買主はどのような要求ができるか

③ 代金に含まれるサービスはどの範囲か

④ 取引に当たって一定の営業秘密を相手に開示する場合には、いかにして営業秘密が漏洩しない対策を取らせるか

⑤ 相手方が契約違反をした場合に何を請求できるか

⑥ 競業避止義務等取引をすることによって自分の営業が制約される義務を負うことはないか

  なども検討する必要があります。もし、予測される事柄やトラブルについて定める条項がなければ、「実際に問題が生じた場合に、どのようなリスクを負うことになるのか予測がつかない」ということになるのです。

  相手から提示される契約書では、これらの重要な点について、相手方に一方的に有利な条項となっていることがしばしばあります。そして、一旦契約書を作成すると、後で「そんな条項があるとは理解していなかった。」と言ったところで、契約書の内容が合意をした内容とみなされてしまうのです。

  したがって、とりわけ相手から提案された契約書の内容は、すみずみまで十分に検討して、当方に不利な条項があれば、きちんと交渉をしなければならないのです。

  もちろん、契約は相手がある話ですから、いつも、こちらの要求に応じて全ての条項を変更してもらえるとは限りません。したがって、契約内容から、リスクが大きすぎると判断をして、取引を見合わせなければならないケースも実際にあります。

  また、条項の変更ができず、契約をせざるを得なかったとしても、リスクをきちんと理解していれば、例えば、実績を基に契約の更新時や設備投資をしたり取引額が増えるタイミングで改めて改訂を交渉する等の工夫の余地も出てくると思います。

  実際に取引先とトラブルが生じてから、はじめて、不具合のある製品を買わされたのに返品や損害賠償ができないとか、複数年の契約だと思っていたのに途中で解約できる内容になっていた等のリスクに気が付いたというケースも少なくないようです。

  どのような契約書を取り交わすか、契約によりどのようなリスクを負うのかを、きちんと理解しておくことは、基本的なことでありながら、紛争を未然に防ぐためにとても効果的なことです。


  また、こちら側が契約書を提案する立場で、いつも使っている契約書がある場合も、契約書の条項は、社会状況の変化や法律の改正、新しい裁判例の出現、さらには想定していなかったトラブルの発生等によって、定期的に改訂作業(メンテナンス)をする必要があります。

  どんなに細心の注意を払って作成した契約書でも、全てのトラブルを予見して規定するのは難しいですし、時間がたてば見直しを要する部分もでてくるものです。

  弁護士は、契約書の作成やチェックに必要な法律的知識やノウハウを持っています。様々な業種の様々なトラブルを目にする立場にいますので、当事者では気が付きにくい視点からのアドバイスも期待できます。

関心がある方は是非お気軽にご相談下さい